都市の風景は、時代とともに変わる。かつて最先端だったオフィスビルも、時間の流れとともにその役割を終えつつある。
いま、日本全国で築40年以上のビルが増え続けている。新耐震基準(1981年)以前に竣工したオフィスビルは全体の22%にあたる2,966万㎡(2,806棟)を占めており、築40年以上のビルの割合も全国的に増加している。特に地方都市では、築40年以上のオフィスビルが全体の29%を占めるなど、老朽化が進んでいる。
東京を見れば、再開発が進み、次々と新しいランドマークが生まれている。しかし、その裏で静かに取り壊されていくビルも少なくない。都市は、新しいものを受け入れる一方で、古くなったものを手放してきた。
しかし、ここにきてその流れが変わりつつある。
「新築一択」の時代が終わる?
オフィスビル市場では、かつて「新築こそが価値を生む」という考えが主流だった。
しかし、いま、その常識が揺らぎ始めている。
まず、開発余地の減少。
東京や大阪といった主要都市では、新築オフィスを建てるための土地が限られつつある。
今後3年間(2023~2025年)の新築オフィス供給の74%が東京に集中する見込みだが、これは逆に言えば地方都市にはほとんど新築が供給されないことを意味する。
建築工事費の高騰
今後、今よりは建築費は安くはならないというのが大半の見方。建設労働者や現場管理者の減少や週休二日制、建材共有の不安定化など。
建築工事コストが高すぎて収益性が成立せず、新築の計画が頓挫している案件が多発している。
さらに、法規制の強化。
2026年以降、耐震改修や省エネ基準の強化により、築古ビルの適法化リノベーションの必要性が一気に高まる。
これは、単なる改修ではなく、「法に適合するためのリノベーション」が求められることを意味する。
そして、投資資金の流れの変化。
これまで新築開発に向かっていた投資マネーが、築古ビルのリノベーションに向かい始めている。
新築のリスクが高まる中で、既存の資産を活かし、再生するビジネスモデルに注目が集まっているのだ。
都市の記憶を引き継ぐ、新しい価値創造へ
これまでの都市開発は、「新しくつくること」に価値を見出してきた。
しかし、これからの時代は「活かすこと」が求められている。
都市の歴史を刻んできたビルを、単に取り壊すのではなく、現代の価値観に合わせて進化させる。
それこそが、これからの都市のあり方ではないだろうか。
私たちは、築古ビルを再生し、ただのリノベーションではなく、都市の未来につながる新たな価値へと昇華させていく。
「壊す」のではなく「活かす」—— いま、その発想が求められている。
REVIVE 〜その街に必要な建築として蘇らせます〜